
スノーランドの子どもたち
8月2日(SAT) / 10:30
【日本初公開作品】
原題:Children of the Snow Land
2018年製作/作品時間93分
撮影地:ネパール
製作国:イギリス
ネパールの首都カトマンズには、ヒマラヤの奥地で生まれた子どもたちが教育を無償で受けられる寄宿学校(boarding school)がある。ここでは4歳から16歳の子どもたちが、親元を離れて12年間の共同生活を送りながら勉学に励む。故郷があまりに遠すぎるため、子どもたちが両親や兄弟、親戚に会えることはほとんどなく、彼らはすっかり都会の生活に慣れてしまう。そんな彼らにとって刺激的な行事がある。卒業前に実家に3か月間里帰りし、あらためて自分の生まれ故郷について知るという。本作では3人の生徒のヒマラヤの雪山を超える険しい道のりとなる初めての里帰りに密着し、生まれ故郷と向き合いながら成長していく姿に迫っていくドキュメンタリー作品です。
監督・プロデューサー:ザラ・バルフォー、マーカス・スティーブンソン
編集:グレアム・テイラー
音楽:クリス・ロー
<作品の見どころ・社会問題提起>
◆ヒマラヤの最奥地では、教育が唯一の希望◆
ネパールの最奥地であるヒマラヤ山間部の生活は、まさに秘境で現代においても極めて過酷な生活環境にあります。自動車が通行できる道路は無く、4千メートル級の山々を越える細い山道が唯一の命綱です。通信手段は無く、外界からほぼ完全に遮断されています。この地で暮らす人々の大半は農業に従事し、半農半牧の生活をしています。家では、一階で家畜を飼い、二階が居住空間となっており、水道や電気も無く、衛生状態も良くない状況です。仕事はたいてい重労働で、現金を得る手段もほぼありません。こうした村において、子どもに教育を受けさせることは唯一の希望であり、親は子どもを手放してでも、教育を受けさせる機会を優先するのです。
全寮制の寄宿学校では、家族と子どもは離れ離れの生活となります。その期間は非常に長く、故郷や家族の記憶が遥か遠くにかすみます。ヒマラヤ山脈の雪山を進む、里帰りの過酷さを乗り越えながら家族の絆を結びます。ネパールの教育事情や教育格差、そして過酷な生活の現実が垣間見えます。
(映画賞/映画祭)
ネパール人権国際映画祭 ドキュメンタリー最優秀賞受賞
カトマンズ国際山岳映画祭
2018年 ロンドン独立映画祭 最優秀賞受賞
2018年 ポカラ国際山岳映画祭(ネパール)
2018年 バレッタ映画祭(マルタ共和国)
2018年 シルビア・クリス国際映画祭(オランダ)
2018年 広州国際ドキュメンタリー映画祭
2018年 バンスコ山岳映画祭(ブルガリア)
2018年 ロッキーマウンテン女性映画祭
2018年 DOCLAアワード
2019年 ブリュッセルミレニアム国際ドキュメンタリー映画祭
2019年 ソル・ルナ人権映画祭(イタリア)
2019年 子供と若者ためのズリーン国際映画祭(チェコ)
2019年 クラクフ子供映画祭(ポーランド)
2019年 CRONOGRAF国際ドキュメンタリー映画祭
予告編
登壇者紹介

ジギャン クマル タパ
公益財団法人かながわ国際交流財団/ネパール政府公式通訳者
1979年、ネパール生まれ。幼少期にJICA職員が自宅にホームステイしたことをきっかけに日本に興味を持ち、2000年に千葉県の秀明大学に留学。その後、横浜国立大学大学院に進学し、現在は公益財団法人かながわ国際交流財団の学術・文化交流グループに所属しながら、駐日ネパール大使の公式通訳者を務める。また、日本の外国人政策や在日ネパール人の社会的役割に ついて積極的に発信し、NHK「視点・論点」では在住外国人の役割、朝日新聞「耕論」では留学生受け入れ、毎日新聞「論点」では移民社会における地域の受け入れについて論じるなど、主要メディアでオピニオンリーダーとして活躍。

伴野 智
株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、ギャラクシー賞などの受賞実績がある。