
ミャオ族の聖歌隊
11月8日(Sun) / 15:15
【日本初公開作品】
原題:Singing in the Wilderness
2021年製作/作品時間98分
撮影地:中国
製作国:中国・アメリカ
※全世界から視聴可能
中国・雲南省の少数民族・ミャオ族の聖歌隊が、商業主義に翻弄されながら民族のアイデンティティと信仰心を拠り所に生きてゆくさまを追った作品。敬虔なクリスチャンとして神に歌を捧げる一方、役人の指示に従い宗教色を排除した歌で人気を獲得していく。知名度が上がり次第に豊かになっていくとともに、観光資源化された村は一気に押し寄せる開発の波から逃れられなくなる。土地を失い、報酬をめぐって信頼関係が揺らいだ。そんな苦境にあっても、信仰心と歌は決して忘れることがないミャオ族。しかしその陰で、失われてゆく伝統もあった。民族として守るべきものは何なのか。ミャオ族の苦悩が、観る者の心に問いかける。
監督:ドンナン・チェン
プロデューサー:ドンナン・チェン、バイオレット・フェン、キ・ザオ
撮影:ジソン・リー
編集:エムリー・マフダヴィアン、ドンナン・チェン
作曲:チャド・キャノン
<作品の見どころ・社会問題提起>
◆伝統宗教を失った民族のよりどころ◆
中国南部の山岳民族であるミャオ族は、大多数が山岳地帯に暮らしています。緻密な刺繍が施された民族衣装は手工芸の技術の高さで文化的価値が注目されてます。民族楽器のひとつで竹管楽器の蘆笙(ろしょう)などで民族音楽を継承してきました。元来は精霊信仰を持つ民族で、自然界の全てが畏敬の対象。アミニズム、シャーマニズムに近い宗教を崇拝しています。近代になって西欧の宣教活動により、雲南省のミャオ族の一部は、集団でキリスト教に改宗。宗教音楽が、民族元来の歌や踊りの伝統と融合し、音楽芸能として普及している地域もあります。中国共産党は、国家樹立時から現在まで無神論を標榜していますが、仏教、道教、イスラム教、プロテスタント、カトリックの5宗教を公式に許可。一方で海外からの影響を極力排除し、国内での反政府の動きを抑えるため、一部の宗教的活動や運動を禁止しています。
(映画賞/映画祭)
ロッテルダム国際映画祭
テッサロニキ ドキュメンタリー 映画祭
シドニー映画祭
Doc Edge
ロサンゼルス アジア パシフィック映画祭
ミレニアム ドックス アゲインスト グラビティ映画祭
モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭
西寧FIRST国際映画祭
DMZ国際ドキュメンタリー映画祭
予告編
登壇者紹介

宇多丸(ライムスター)
ラッパー/ラジオパーソナリティ
宇多丸(ライムスター)
ラッパー/ラジオパーソナリティ
1969年東京都生まれ。ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーで、TBSラジオ(月~木)の22時から生放送されている、ワイド番組『アフター6ジャンクション2』を担当するラジオパーソナリティ。1989年、大学在学中にMummy-Dと出会い「ライムスター」を結成。日本ではまだヒップホップ/ラップが浸透していない中で、「日本語でラップをするための方法論」を模索、曲作りとライブ活動で試行錯誤を繰り返して、今日にいたる日本のヒップホップシーンを開拓/牽引してきた。また2007年にTBSラジオで番組が始まると、ラジオパーソナリティとしてもブレイク。中でも愛ゆえ本音で語りおろす映画評は、現在も続く人気コーナーに。近作にライムスターアルバム『Open The Window』(2023)、単行本『森田芳光全映画』(2021)ほか。

張勝蘭
法政大学国際文化学部専任講師
張勝蘭
法政大学国際文化学部専任講師
専門は地域研究(中国南部の少数民族地域)、文化人類学、歴史学。主に中国南部少数民族の歴史、社会と文化、少数民族社会と漢族社会との関係性、苗(ミャオ・Hmong)族について研究している。関連の論文に、「明清期の貴州地方志及び「百苗図」に見える「苗」の記述について」(『異文化』(27)、2026年)、「「改装」政令にみる苗族服飾の変遷と苗族アイデンティティー清朝期及び民国期の貴州省を中心に一」(『21世紀アジア学研究』(20)、2022年)、「土司統治の変遷から見る高城苗族の伝統文化一中曹長官司長官謝氏を中心に」(『中国古代の法・政・俗』所収、汲古書院、2019年)、「貴州高坡菌族「敵牛祭祖」について一高郷一帯を中心に」(『WASEDA RILASJOURNAL』(6)、2018年」)など。