
心躍るラーガ 北インド古典音楽の旅
8月2日(SAT) / 15:45
【日本初公開】
原題:RAGA REVELRY
2012年製作/作品時間52分
撮影地:インド
製作国:インド、アメリカ
世界で最も古い伝統音楽の一つ、インド古典音楽は、10〜13世紀に北インドと南インドの2体系に分かれた。このドキュメンタリーはイスラムの影響を受けた北インドの古典音楽「ヒンドゥスターニ」の魅力を、音楽的な見地から紹介している。インド初の音楽家養成学校「グルクル」の創始者ヴィジェイ・キチュル。実践者の養成だけでなく、自身も音楽家として第一線で活躍してきた。作品中でヴィジュイは、インド古典音楽の旋律、音階、リズムなどの特徴を、演奏や聴衆のリクエストを交えて解説。グル(師匠)に弟子入りし継承される、グルクル徒弟制度の口伝による奏法習得の音楽でありながら、明確な理論としても完成させた。音楽に愛された男の、音楽への想いが感じられる作品だ。
監督:マヘシュ・ナーイル
エグゼクティブプロデューサー:シュリデヴィ・タッカー
音楽(マエストロ、グル):シュブラ・グハ、タンモイ・ボース
音楽(マエストロ、演奏家):アブドゥル・ラシッド・カーン
<作品の見どころ>
◆宗教色のない、旋律「ラーガ」とリズム「ターラ」を重視する伝統音楽◆
インド古典音楽は、主に北インドのヒンドゥスターニー音楽と南インドのカルナーティック音楽に分かれます。インド古典音楽の成立は、16世紀のムガル帝国時代。インド各地やペルシア、中央アジアとの関係が深かったムガル帝国では、宗教や言語の異なる相手にも理解されやすい宮廷音楽が発展しました。そのため、明確な歌詞ではなく、音階やリズムを口ずさむように歌い上げるものが多いのが特徴です。「ラーガ」とは、インド音楽の音階や旋法のこと。西洋音楽の「ドレミファソラシド」とは異なる音階「サレガマパダニサ」で音楽を即興で奏でます。インド音楽には数千のラーガが存在すると言われています。ターラは、音楽全体の基本を構成する拍子で、リズム単位のことです。ターラは、ラーガの旋律と一体となって、インド伝統音楽に深みと奥行きを与えます。代表的な楽器は、弦楽器のシタール、木管楽器のバーンスリー、太鼓のタブラー(タブラ)などがあります。楽器の種類は多く、地域によっても異なりますが、ラーガに則っていれば新しい楽器や西洋楽器も積極的に受け入れるのも特徴です。
予告編
登壇者紹介

寺原 太郎
バーンスリー奏者
91年より巨匠ハリ・プラサード・チョウラスィア師の弟子である中川博志氏に、96年より巨匠ニキル・ベナルジー師の愛弟子H.アミット・ロイ氏に師事。06年より継続的にオーストラリアWoodford folk festivalに出演。チベット人歌手テンジン・チョーギャルと、オーストラリアおよび日本の様々なフェスティバルに出演。07年坂本龍一プロデュース「ロハス・クラシックコンサート」出演。映画「るろうに剣心」(2012、2014)、NHK朝ドラ「舞いあがれ!」、映画「海の沈黙」(2024)等で挿入曲を演奏。2016年より5年間、都賀のギャラリ ーオアシスで「世界音楽紀行」をナビゲート、千葉でワールドミュージックフェスティバル「オンガクノムラ」(2019年)主催。インド古典音楽の深い理解に基づく、叙情的かつダイナミックな演奏で、各方面より高い評価を受ける。

菅井 国夫
シタール奏者
ロック少年が、22歳でシタールに魅了され初渡印。カルカッタでサロッド奏者イルファン・カーンに師事し、のちに名古屋のシタール奏者アミット・ロイにも学ぶ。コンサートやイベントで多数演奏し、現在も精力的に活動。エッセイサイト「note」でシタールやインド体験を発信。時にシタールとロックを組み合わせた独自の幻想的な音空間を作る。インド音楽と日本文化の融合をテーマに、邦楽器や現代音楽とのコラボレーションにも積極的に取り組む。

伴野 智
株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、ギャラクシー賞などの受賞実績がある。