
イスラエル主義
8月3日(SUN) / 20:05
【日本初公開】
原題:Israelism
2023年製作/作品時間84分
撮影地:アメリカ、イスラエル、パレスチナ
製作国:アメリカ
ユダヤ系アメリカ人のシモーンは大学生の頃、反イスラエル議案が学生自治会に提出されると聞き、反対運動のために議場に入った。そこで彼女が耳にしたのが「占領」「入植」「アパルトヘイト」「民族浄化」というショッキングな言葉。真実を確かめるために、周囲の反対を押し切って一人パレスチナに入った。高校卒業と同時に祖国に移住し軍人となったエイタンは、パレスチナ人への拘束や暴力が常態化している現実を目の当たりにし退役。自分が経験したことを公に語り始めた。しかし、パレスチナに心を寄せイスラエルを非難することは、ユダヤ人社会では最大のタブーだった。祖国イスラエルに忠誠を誓う米国在住のユダヤ人が真実と出会い、自らの意思で新たな行動を起こす。「目覚めた」若者たちは世界を変えることができるのか。
監督:エリン・アクセルマン、サム・アイラートセン
製作統括:ブライアン・A・ケイツ、ジリ・ゲッツ、マシュー・リンデンバウム、ベネット・リンデンバウム、シドニー・トポル
撮影監督:サム・アイラートセン
編集:トニー・ヘイル
◆ユダヤ人のアイデンティティーを育む「バースライト」◆
イスラエルへの無料観光ツアー「バースライト」。主に米国在住のユダヤ人の若者を対象に、親イスラエルの慈善団体が1999年から行なっています。目的は、民族固有の文化や伝統に触れ、ユダヤ人としてのアイデンティティーを涵養することですが、軍隊への入隊体験により、愛国心も増幅させています。一方で、民族紛争に関する話などはいっさいありません。参加者はイスラエルの正義やシオニズムについて徹底的に教え込まれてゆくのです。バースライトには過去25年間で世界68カ国から80万人以上が参加。世界中で激化する反ユダヤ主義に対抗するための、強力な手段となっています。
(受賞歴/映画祭)
2023年 アリゾナ国際映画祭(アメリカ) 最優秀ドキュメンタリー賞受賞
2023年 BIG SKYドキュメンタリー映画祭(アメリカ) 最優秀長編作品賞受賞
2023年 Tallgrass映画祭(アメリカ) Winner賞受賞
2023年 第43回サンフランシスコ・ユダヤ映画祭(アメリカ) 観客賞受賞
2023年 ブルックリン映画祭(アメリカ) オフィシャルセレクション
2023年 ダラス国際映画祭(アメリカ) オフィシャルセレクション
2024年 HUMAN国際映画祭(ノルウェー) オフィシャルセレクション
2024年 シカゴ・パレスチナ国際映画祭(アメリカ) オフィシャルセレクション
2024年 コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭(デンマーク) オフィシャルセレクション
予告編
登壇者紹介

宇多丸(ライムスター)
ラッパー/ラジオパーソナリティ
1969年東京都生まれ。ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーで、TBSラジオ(月~木)の22時から生放送されている、ワイド番組『アフター6ジャンクション2』を担当するラジオパーソナリティ。1989年、大学在学中にMummy-Dと出会い「ライムスター」を結成。日本ではまだヒップホップ/ラップが浸透していない中で、「日本語でラップをするための方法論」を模索、曲作りとライブ活動で試行錯誤を繰り返して、今日にいたる日本のヒップホップシーンを開拓/牽引してきた。また2007年にTBSラジオで番組が始まると、ラジオパーソナリティとしてもブレイク。中でも愛ゆえ本音で語りおろす映画評は、現在も続く人気コーナーに。近作にライムスターアルバム『Open The Window』(2023)、単行本『森田芳光全映画』(2021)ほか。

鈴木 啓之
東京大学 大学院総合文化研究科 中東地域研究センター 特任准 教授
博士(学術)。日本学術振興会特別研究員PD(日本女子大学)、同海外特別研究員(ヘブライ大学ハリー・S・トルーマン平和研究所)を経て、2019年9月より東京大学中東地域研究センター特任准教授。著書に『蜂起〈インティファーダ〉:占領下のパレスチナ1967–1993』(東京大学出版会、2020年)、共編・編著に『パレスチナを知るための60章』(明石書店、2016年)、『パレスチナ/イスラエルの〈いま〉を知るための24章(明石書店、2024年)、『ガザ紛争』(東京大学出版会、2024年)、共訳書にラシード・ハーリディー著『パレスチナ戦争』(法政大学出版会、2023年)。主に中東の地域研究に従事し、パレスチナ問題を軸に中東の近現代史を研究している。